カナダで運転してみる

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ロシアに続く世界第2位の面積を誇るカナダ。しかしながら都市間交通網の発達度合と言えばあまりにも微妙で、例えば鉄道に関しては、一部の都市間を結ぶルート以外では速度そして運行本数共に値段に見合っているとは言い難いものがありますし、飛行機の利用も一般的とは言え、低調な価格競争から来る割高感がある事は否めません(実際ほとんどのものがアメリカよりも高いようですが)。そんなカナダですから、アメリカ同様自動車に相当依存した社会が形成されています。

そして住民的視点から言えばより気になるのは都市内の交通。トロントやモントリオールなどの公共交通機関がまだ比較的発達している大都市で、特に冬の寒い時期に外で待たずに済む地下鉄の駅から近くに住むのであれば、さほど車の必要性を感じないのかも知れません。それでも郊外に位置する事も多い大型ショッピングモールへの買い物であったり、もしくは子供の幼稚園や学校の送り迎えに車があると当然便利になります。また、こういったカナダでも極々一部の都市圏に住むのでなければ、車が無いと生活そのものが成り立たないケースも決して少なくないようです。

先月所用でお隣のオンタリオ州に出かける事があり、やはり車が無いとどうにも不便だという事でレンタカーを借りました。そこで気がついた点や初めて知った事についてご案内しようと思います。

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カナダ人の運転ってどうなの?

大陸的?のほほんとしている?なんてイメージをカナダ人に持っている人も居るかも知れません。実際にそうかは別にしてもただ言えるのは、大陸的性格イコール運転が穏やかであるという論理は決して成り立たないという事です(中国も然り)。町中であれば相応の交通量があり、元々スピードが出せる状況でもありません。ところが一旦高速道路を走ってみると飛ばし屋が結構居る事に気がつきます。モントリオールからトロントへと繋がる道は最高速度が時速100キロ程度の設定ですが、ちょうどそれぐらいのスピードで走っていても、実際には右から左から次から次へと追い越されます。そう、右から左から、です。遠慮のかけらも感じられない追い越し方です。

少なくともスピードに関して言えば、まあそれもそのはず・・・、

(↑オンタリオ州内の高速道路401の場合)

いくらなんでも罰金が安過ぎる嫌いがあるのを否めません。確かに日本でも高速を制限速度で走るとバカみたいに遅く感じ、実際の流れとしては幾分速めの事も多い気もしますが。

調べてみると罰金の額は日本もカナダとほとんど変わりありませんでした。個人的にはちょっと意外です。

もう1点、初めはどうしても慣れなかったのが車間距離。日本で高速道路を走っていればたまにスピード狂が別の車を煽るような光景を目にする事もありますが、カナダでは煽る煽らない云々よりも先に全体的に車間距離が短く感じられます。路面の状況がいい時だけでなく、雪が降っていようと、日が暮れた後であろうと、カナダ人はその感覚に慣れて日々運転をしている訳なので、煽られているのではないと理解しつつもやはり怖かったりします(もちろんあからさまに煽っている人も居ます)。こればかりは慣れるしかありません。

それでも歩行者には結構普通にやさしいのがカナダでのお決まり。特に住宅街で、交差点以外にも多く設置された横断歩道では、道を渡ろうとする人が居れば車はまず止まってくれます。もちろん日本の交通ルールでもそれが決まりではありますが、それを実践している人は少ないですし、下手に実践しようものなら逆に危険を招くような事すらありそうです。しかしカナダでは止まるのが基本ですから、運転している時には必ず気をつけるようにしましょう。

見慣れない交通標識、交通ルールの違い

実際に何度が運転してみて、交通標識についてはカナダと日本で恐れるほどの大差は無いと感じたものの、全く同じではない中で特に慣れが必要だと思ったのが4-way stopでした。

4-way stop (all way stop)

4-way stopの交差点では、「止まれ」を表す「STOP」(ケベック州ではフランス語の「ARRÊT」)の標識の下に「4-way」や「all way」の補助標識があり、先に交差点に到達した車から順番に通過するルールになっています。とても簡単に感じます。しかし実際にはほぼ同じタイミングで2台もしくはそれ以上の車が来たり、何台も連なって車が来たりすると、「あれ、誰が先だったっけ?」などと混乱しやすくなり、特に比較的交通量のある交差点では結構厄介です。

優先順位ばかりに気を取られていると危うく忘れそうになるのが歩行者の存在。後ろからクラクションを鳴らされようとも、まずは心を落ち着けて、しっかり安全確認をしてから発進しないといけません。

また、日本の交通ルールとの違いで特に挙げられるのが、赤信号点灯時の右折と、一時停止を求められる場面の違いでしょうか。

赤信号点灯時の右折可

まず前者については、赤信号の際には一時停止を守った上で安全が確認できる場合には右折が許されるというものですが、交差点によってはそれを禁止する標識が出ている事もあり、その場合には当然そのルールに従います。

モントリオールはそんなカナダでも例外の存在で、島内走行時に赤信号での右折はできない決まりになっていますので、他の町から来る場合には特に注意してください。

スクールバスには要注意

そして後者。例えば、日本では踏切を通過する際に一時停止が基本であるのに対し、カナダではそれを求められません。下手に止まると後続車がある時に危険です。逆にスクールバスの乗降時には、その後ろを走っている車のみならず、対向車線の車も全て止まらなくてはいけません(中央分離帯があるケースを除く)。スクールバスには交差点と同じ赤い「STOP」サインが設置されており、乗降時にはそれが飛び出て(あるいはライトが点滅して)周りの車に知らせるようになっています。スクールバスからどれくらいの間隔をあけて止まる必要があるのかは州によって規則が異なり、ケベック州では5メートルトロントのあるオンタリオ州では20メートルです。

もう1点、これはドライバー自身が気にする必要はありませんが、カナダでは日中夜間を問わず常時点灯が義務付けられていて、エンジンをかけると自動的にライトが点く設定になっています。

駐車スペースは?

面積比の人口がとても少ないカナダではその国土の大半が田舎。それもど田舎。とは言えその中にも大きな都市が存在し、そういった町では車を止めるにも駐車スペースを見つけるのに苦労する事もあります。

例えばモントリオールのダウンタウン。駐車場は決して少なくないのですが、ちゃんとした駐車場に止めるとなると案外駐車料金が高くつくケースがあるようです。また旅行で来ているような場合であれば、どこに駐車場があるのかを知らせる標識はあるものの、それが見にくかったり、分かりづらい事も多く、不慣れな場所で他にもまだ沢山注意しながら運転していると、駐車場に辿り着くまでが大変かも知れません。

幸いこちらでは路上駐車が一般的であり、車を止められる場所は多くあります。しかし路上駐車でも有料と無料の違いがあり、有料の駐車スペースではその多くが前払いとなっていて、止めるであろう時間を想定した上で、道路脇に一定間隔で設置された機械でその時間分の料金を支払う仕組みが多いです。支払いが完了するとチケットが発行され、それをダッシュボードに置いておく事で支払い済みである事を証明します。尚、支払いには現金(コイン)とクレジットカードの両方が使える場所が多く、それ以外にインターネットを利用した駐車料金支払いシステムを構築している都市では、スマートフォンのアプリを使って手軽に済ませる事もできます。

便利な路上駐車。それでも、有料の場所でありながら駐車ができない曜日や時間帯が設定されていたりと、そのルールをしっかり確認する必要があります。モントリオールではルールの確認そのものがまず難しく、表記はされているものの原則的にフランス語のみで英語はありません(モントリオールのあるケベック州ではフランス語が唯一の公用語であるために文句は言えないのです)。例えばこの標識、1行目と2行目を理解するのは難しくありませんが、3行目は「月曜日から土曜日まで」を意味します。

月曜日:lundi、火曜日:mardi、水曜日:mercredi、木曜日:jeudi、金曜日:vendredi、土曜日:samedi、日曜日:dimanche

標識が読めずに困ってしまった時は1度止まって道往く人に尋ねてみてください。英語で聞けばきっと英語で答えてくれますから。

高速道路は基本無料

同じ大都市圏という言葉で表現はされながらも、日本で言う首都圏とカナダのトロントやモントリオール一帯とではまるで比較対象になり得ません。東京で働いている人の中に神奈川、埼玉、千葉などから毎日電車で通っている人を相当多数含んでいるのは、それだけ首都圏の交通網が発達しているからこそだと言えますが、カナダではなかなかそうはいかないのです。当然誰もが都会に住めるのでもなく、近郊から車で通勤せざるを得ない人も多くなります。また日中の時間帯の移動となると更に不便で、カナダ随一の大都会であるトロント周辺であっても、昼間に郊外から都市部に入る電車やバスは本数が少なくなります。

その代わりに高速道路は基本的に無料で、都市と近郊間の移動のような使い方だけではなく、僅か数キロしか離れていないような場所まで一区間だけ、などという使われ方も一般的なようです。高速道路ですから確かに渋滞さえ無ければ早いです。渋滞さえ無ければ。ところが実際には渋滞は頻繁に起こっていて、ランキングを見ると案の定トロントとモントリオールに集中しています。渋滞と言う程混んでいない場合でも、日本の交通量の多い国道や都道府県道と同レベルで車が走っている状況で、車間距離を相変わらず小さく取りつつ、それでもスピードは高速並みであるのには注意が必要です。これも高速道路が生活の一部として使われている以上は仕方無いのでしょう。

ところがカナダにも有料の高速道路があります。中でも407はトロント一帯を走っていると「知らない間に乗っていた」なんて事になりかねない道路で、どうして「知らない間」なのかと言えば、実は料金所が設置されていないのです。

407は日本のETCのように自動で料金が徴収されるシステムを導入しているのですが、料金所(ゲート)は無く、専用のタグを車に取り付けておきさえすれば自動的に読み取りが完了し、スピードを落とす必要すらありません。タグをつけていない車の場合には、道路上に設置されたカメラがナンバーを読み取った上で後になって請求が行く事になります。レンタカー利用時にはレンタカー会社から連絡が来て、いくつかあるオプションから支払い方法を選んで料金を支払いますが、この際には別途手数料が発生するようです(私自身の体験談としては、この手数料だけでCAD15も支払う羽目になりました)。

ちなみに407の通行料金はべらぼうに高いですので、特に急いでなければ避けて通るようおすすめします。グーグルマップなど、スマートフォンのアプリでナビ機能を使う際に、「通行料金の発生しない道を通る」オプションを選ぶのを忘れると、急いでもいないのに余計なお金を払う事になりますのでお気をつけください。

日本の高速道路には欠かす事のできない存在であるサービスエリアとパーキングエリア。カナダでも場所によってある事はあります。ただモントリオールからトロントへと走る主要道路ですら、60㎞から70㎞ぐらいにようやく1ヶ所あるかという程度で、そう頻繁に見かける事はありません。それでも実はあまり不便に感じないのです。なぜなら高速道路自体が無料で、いつどこから乗ってどこで下りても構わないから。各出口を示す標識には出口周辺にあるガソリンスタンドやファストフート店などのロゴがわかりやすく記載され、もし必要であれば下りればいい訳です。ただ、これはあくまでもカナダでも最も便利と言えるであろう場所での状況であり、他の地域では大きく異なる可能性もあるので、やはり休憩、給油はできるだけ早めに済ませるのが得策です。

スタンドにより大きな差があるガソリンの値段

日本でもひとたび県境を越えるとガソリンの値段が変わる事がありますが、カナダでは同じ州の中でも10セント以上の差があったりします。例えばモントリオールからトロントへと向かう道、途中のキングストン一帯ではかなり安い値段が表示されているのを見て、「あれ、オンタリオ州はケベックより安いのかな、ラッキー」とか思っていたら、トロントに到着してみるとモントリオールと変わりませんでした。スタンドを併設しているコストコでは値段が結構安く、日本のカードでも入れられるらしいとの話を聞きますので、もし持っている方は是非お試しください。

アメリカまで行く機会があれば、ガソリンはそちらの方がお得になります。ここ2ヶ月ぐらいの間で確認したところでは20%程度アメリカの方が安いようです。

カナダで借りたレンタカーでアメリカまで走る予定の場合、借りる際にその点を先方に伝えておく事をおすすめします。レンタカー会社によっては別途料金が発生する事もあります。



冬の運転で注意する事

日本でも普段から北国で生活をされている方であれば、雪の深い季節での運転にも慣れていて、冬のカナダでの運転にも困る事はそう無いでしょう。大きな国ですから場所によりけりであるものの、トロント、モントリオールではそこまでの大雪にお目にかかる事は年に数回あるかどうか。バンクーバーなどはより温暖な気候ですからなおさらです。それでも準備はもちろん必要です。

冬にレンタカーを借りるのなら、必要時に雪をはらえるようにブラシが車内に置かれていたりします。あくまで気休め程度のものですが無いよりはマシです。

Mallory Economy Snow Brush | Canadian Tire
Mallory Economy Snow Brush easily removes snow and ice from your windshield | Canadian Tire

万一に備え、食料品や毛布などの防寒具を用意しておくと安心できます。また、長距離を走る時はウォッシャー液が充分補充されているのか確認しておくとベストです(寒冷地用のものが使われています)。特に降雪時であれば、ワイパーだけでなくウォッシャー液をこまめに使っておくと雪と氷で目詰まりする心配もありません。

ちなみにこちらでは一旦雪が強くなるとすぐさま除雪が入ります。2月にトロントからモントリオールまで帰って来た際にも運悪く大雪に見舞われ、高速道路上で何度か除雪の現場に出くわしましたが、片側車線全面を同時に行うためにその後ろを走る車は完全にノロノロ運転で、それが約1時間も続くような事もあり、普段なら6時間程度の距離を13時間もかけてようやく辿り着きました。

ケベックで運転するのなら

ケベック州、特にモントリオールでは運転が荒いと言われるそうなのですが、実際にオンタリオ州まで走った上での印象としては全くの似た者同士な気がしました。日本やアメリカでもどこどこの人は運転が荒い、などという言われはあります。それでも現実としてはそこまで大きな差は無いのと同様、カナダでも車の流れに乗っていればあとは普段通りに運転すれば大丈夫だと思います。

ただ1点、ケベック名物とも言える舗装のひどい穴だらけの道、これには注意が必要です。田舎にまで出かけなくとも、モントリオールの町中でイヤと言うほどお目にかかれます。遠くからでも気がつけるのならまだしも、交通量の多い場所では気がついたらすぐそこにあったなんて事も度々ありますから、フランス文化の色濃い町にそそのかされて、まだ淹れたてのコーヒーなどを片手に持ちつつ運転などと優雅な事にはチャレンジしない方が身のためです。

(番外編)リアウインドーにワイパーが無い

恥ずかしい事に今まで気がつかなかったのですが、セダンは基本リアウインドーにワイパーが無いのでしょうか。操作しようとして初めてワイパーが無い事に気がつき、カナダの車ってこうなのか、などと勝手に早とちりしました。しかし、まさか日本ではそんな事無いだろうと思いつつもネットで調べてみると、なんとセダンの場合はついていないのだとか。もちろん全てが全てではないとは思うものの、リアワイパーの基本的役割は雨や雪ではなく泥除けとの事で、ミニバンやハッチバックのような後頭部絶壁スタイルの車と違ってセダンはせり出し部分があるので必要無いという理屈らしいです。そうでしょうか?個人的にはやっぱり必要だと思います・・・。

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