カナダの飲酒運転に関するルール

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お酒を飲んだら運転しない。

それは日本では常識です。違反した際の罰則も以前に増して厳しくなり、罰金に加えて免許の停止や取消が普通になりました。これも「時代の当然の流れ」であるものと、疑問さえ感じる事なく考えがちですが、世界を見渡すと必ずしもそうではない現実があります。

そしてその一例がまさにここカナダにもあります。

以下の内容は飲酒運転を助長するものではない事を必ず理解して頂いた上でお読みください。

飲酒運転の定義

もちろんどれだけ飲んでも構わないなどという訳ではなく、これ以下なら大丈夫、これ以上だと違反、という基準が法律で設定されています。

当地ケベック州の自動車保険公社では、ウェブサイト上で以下のように紹介しています。

You could be arrested and convicted if:

you are over the legal limit of 80 mg of alcohol per 100ml of blood (0.08)

– Société de l’assurance automobile du Québec

しかし一旦逮捕され、有罪が認められると、免許取消や最低CAD1000の罰金などに処せられるだけでなく、犯罪歴が残る事になります。特に悪質のケースや前科がある場合には収監される事もあります。

また同時に「zero alcohol rule」なる決まりも存在し、例えば22歳以下のドライバーは上記基準が適用されず、アルコールが検出されれば即罰則を受ける事になります。またバスやタクシーの運転手に対しても別に適用されるルールが存在します。

気をつけたいのが連邦制を採るカナダでは各州で異なる州法を持つ点。基本、100mlの血液に対してアルコールの含有量が80mgを超えない事というのはカナダ全土で一致するところですが、その他にも州法違反に該当するケースがあります。

各州法と飲酒運転の罰則

オンタリオ州

100mlの血液中アルコール含有量が50mgを超えていると確認された時点で罰則が適用され、初回の違反では3日間の免停、そしてCAD198の罰金に処せられます。

Impaired Driving – Ministry of Transportation, Ontario

ブリティッシュコロンビア州

同じ条件下でオンタリオ州に比べてもより厳しくなり、初回時では、3日間の免停のみならず、同期間中は車が押収され、押収費用としてCAD150が発生する他、罰金にCAD200、また免許回復費としてCAD250がかかります。

Driving While Affected by Drugs or Alcohol – BC Homepage

ケベック州

上記2州とは異なり、原則として「100ml中80mgルール」が基準になるものの、アルコールの摂取により運転に悪影響が生じていると警察に判断された場合、基準値に達していなくても法律違反と判断され、逮捕される可能性があります。

What the Law Says – Société de l’Assurance automobile du Québec

測定方法

血中アルコール濃度が判定基準になるとは言え、その度に血液検査をするのではなく、日本と同様に飲酒検知器を用いた呼気検査が基本です。

日本では呼気中アルコール濃度が基準となっている為に、そのままの数値で両者の比較はできませんが、日本の道路交通法施行令44条の3には

血液一ミリリットルにつき〇.三ミリグラム又は呼気一リットルにつき〇.一五ミリグラムとする

とあり、これに基づくとカナダの「100ml中80mgルール」はつまり「1ml中0.8mg」(血中)、呼気中濃度に換算すれば「1l中0.4mg」となり、同様に「100ml中50mgルール」の場合で、呼気中濃度は「1l中0.25mg」になります。

日本との比較

上で算出した数値を元に日本とケベック州での罰則を比較してみます(あくまでも初回の違反であり、その他に処分を受けた事が無い場合を想定しています)。

呼気中アルコール濃度 0.15mg ~ 0.25mg

– 日本
3年以上の懲役、または50万円以下の罰金
減点13点=免許停止 90日間

– ケベック州
飲酒が運転に悪影響を及ぼしていない限りは処罰無し

呼気中アルコール濃度 0.25mg ~ 0.4mg

– 日本
3年以上の懲役、または50万円以下の罰金
減点25点=免許取消 *欠格2年
*免許取消後、再度免許を受けることができない期間

– ケベック州
飲酒が運転に悪影響を及ぼしていない限りは処罰無し

呼気中アルコール濃度 0.4mg ~

– 日本
3年以上の懲役、または50万円以下の罰金
減点25点=免許取消 欠格2年

– ケベック州
最低CAD1000の罰金、及び車両押収30日間
免許取消 失格3年
再取得後 *自動車起動防止装置の設置2年間
*呼気検査に通らないと車が起動しない為の装置

尚、以上の日本に於ける罰則については「酒気帯び運転」に対するものを載せていますが、摂取したアルコールの量に関係なく、酒に酔った状態で正常な運転ができないおそれがある「酒酔い運転」とみなされると更に厳しい罰則が適用され、5年以下の懲役、または100万円以下の罰金に処される上に、35点の減点で欠格期間は3年になります。

それでももし飲んでしまったら

お酒を飲んだ人は皆そう言います。「大丈夫だ」と。しかし実際は自分の「大丈夫」で罰則が無くなる訳でも、事故を起こす可能性が下がる訳でもありません。

そんな時に1つの判断基準を与えてくれるサイトがこちら。何を、いつ、どれだけ飲んだのか、また性別や体重なども元に、本当にケベック州内で運転するのに適した状態であるのかを、法律を基準に教えてくれます。

Blood Alcohol Calculator – Éduc’alcool
This tool helps you anticipate your blood alcohol content (BAC) based on how much you expect to drink in order to control your alcohol intake and make the most responsible decisions.

スマホアプリも出ているようなので、もし必要であればインストールしておきましょう。

飲酒運転にまつわるカナダの現状

ここまでこうして見てみると、カナダの飲酒運転への取り締まりは日本と比較して随分緩いようです。そして中でもケベック州は悪い意味で群を抜いてしまっています。

実際に出ているよくない数字も、やはりその甘さゆえなのではないでしょうか。

Canada’s drunk-driving death rate worst among wealthy countries, U.S. study finds
The CDC study found that while fewer people were dying from motor vehicle crashes in Canada, the proportion of deaths linked to alcohol impairment was 34%

こちらの記事によれば、カナダでは飲酒運転に起因する交通死亡事故の割合が全体の34%にも及び、統計に含まれた先進19ヶ国で最悪の数字だったそうです。対して日本では僅か6.2%だったとか。「車が無いとどこにも行けないから」、なんて言われそうですが、日本でも都市部に住んでいない限りは同じ事が言えますし、全く理由にはなりませんね。こちらで運転する際には、自分が気をつけるのはもちろんの事、周りにもよくよく目を配らないといけなさそうです。

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