ケベック移民の為のフランス語クラス(3)

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前編はこちら

先月上旬から通い始めたフランス語クラスですが、その私にとっての第1学期が今週木曜日で無事に終了しました。今回はパートタイムコースという事で、毎週月曜日から木曜日までの4日間、1日3時間のクラスでしたので、計28日の間に84時間の授業を受けさせてもらった事になります。幸いにして体調を崩したりも無くピッカピカの皆勤賞でした。

学校に通うという行為は多くの場合で費用が発生するものであるところ、移民である事で無料でこのようなコースを受講できるのはやはりとても有難く感じています。もちろんそれも州の税収があって初めて成り立っている訳ですが(尤もケベック州はカナダでも特に税金が高いそうです)、まだこちらに来てばかりで社会に対し何ら貢献するところが無いにもかかわらず、こうして新移民としてのベネフィットを享受させてもらっている以上は、自分個人の利益にばかり走るのではなく、それを与えてくれている人達にも思いを馳せつつ、1回1回の授業を最大限に活用して、言葉も、もちろん自分も、少しでも早い時点で使い物になるようにしなくてはと考えています。

パートタイム、フルタイムを問わず、季節により長短異なる学期編成のあるフランス語クラスですが、今日は私が1ヶ月半程の間に受講させてもらったパートタイムクラス(2016年7月11日〜2016年8月25日)で感じた事や気がついた事について書いていきます。

会話能力の向上を重視した授業?

これはケベックに限らず、海外の語学学校の大半がそうなのかも知れませんが、やはり最も重視されているのは会話面でのレベルアップのようです。普通の語学学校で且つある程度の規模を持つ学校では、授業の内容もより細分化され、例えば文法クラスとか試験対策クラスなどが設けられるところですが、何しろこちらの位置付けは普通の語学学校ではありません。あくまでも新移民を対象として開講されているクラスであり(条件こそ異なるものの新移民以外の授業参加も認められています)、受講者のケベック社会への順応を主な目的とします。

当然ですが文法に全く触れないのではありません。ただそれを用語で表したり、時間をかけて細かく説明するのではなく、あくまでこういうものだと簡単に紹介した後で、実際に口頭での反復練習を行う形式が主たるものでした。ですのでより深く文法も追求しながら勉強を進めたい場合には、文法書を別に購入した上で、授業の内容と照らし合わせながら読んで行くのが効果的だと感じ、実際に日本で購入してあった文法書にはかなり助けてもらっていました。

予算削減の影響も・・・

以前であれば各学生にちゃんとした教材が配布されたそうです。いつまでの話かは知りません。残念ながら今はもうもらえません。おまけにプリントの配布ですら学生1人につき1日最高2枚までという決まりが存在するらしいです。私達のクラスの場合、教科書ではなく問題集については、学生全員が希望した結果、以前使われていたものを先生がちゃんとしたコピー屋さんで全ページコピーの上で本のように仕立ててもらい、学生がその費用を負担する形をとりました。確か13ドル程度だったかと思いますが、今学期を終えてみて、この問題集があってよかった、つまり役に立ったと感じています。

注:その後受け始めたフルタイムコースの授業では教材が各学生に配布されました。それもパートタイムコースで自腹でコピーしたものと全く同じ教材でした。果たしてこの教材、フルタイムコースでは配られ、パートタイムコースでは配られないという事になっているのか、それとも同じパートタイムコースでも学校によって違いがあるのかは確認できていません。(2016年9月5日追記)

ケベックで学ぶフランス語

la classe 2
パガポン、パガポンって何かとひとりずっと思ってた・・・

実際に授業に出始める前に読み、参考にさせて頂いていたブログでは、ケベックと言えども先生は「フランス的なフランス語」を話し、教えるというような紹介がされていた気がするのですが、私達のクラスを担当してくださった先生は多少のケベック訛りがある方でした。移民ではない普通の学生さんで、今後の活躍の場としてフランスやベルギーなど、ケベック以外のフランス語圏を考慮するのならば躊躇されるのかも知れませんが、ただ私は今後も生活するのはケベックですから、個人的にはそれを逆によしと思いましたし、積極的に取り入れようとも思って授業に臨みました。

訛りなど発音に関するものだけではなく、ケベックとフランスでも同じ場面で使われる単語の違いや、同じ単語でのニュアンスの違いなどについても説明をしてくれる事がありましたが、その際の会話練習についてはやはりケベックでの使われ方をもとにして行われていました。本来このコースそのものがケベック移民を対象にし、学生も今後ケベックで生活していく為に学んでいるのでそれも当然かと思います。

そして言葉の他にも、時に文化的相違点、モントリオールの町や、ここで生活するのに必要となる知識などについて授業の中で触れられ、そのいずれもに移民がよりよく、より早く、この社会にとけ込めるように意識されている印象を受けましたし、ただ本やネット上で知るだけでなく、授業形式の中でそれを聞けたのはよかったと感じます。

クラス構成(学生数、出身国など)

この点については特に学校の所在地やクラスのレベルに拠るところが大きいであろう事を断った上で書き始めたいと思います。

まず、基本的にモントリオールに来る日本人は私が思っていた以上に少ないように感じます。ですからクラスメートと全て日本語で会話が成立してしまうような環境はここにはまず無いと言ってしまっても過言ではありません。私のクラスでは日本人は私1人でしたし、学校全体に於いても片手で数えられる程しか居なかったようです。元々この町では日本語を耳にしただけで思わず振り返ってしまうぐらいなので、バンクーバーやトロントと比較した際に、母国語に誘惑されたくてもそのチャンスすらあまり無いかも知れません。

私が通った学校はチャイナタウンにあり、主には中国系の人を対象に運営されている支援センター的な場所で設けられている学校でもある為、そこに通って来るのは当然中国人学生が多くなります。私のクラスで最後まで授業に出ていたのが12名程で、イラン人学生1人、韓国人学生1人、そして私以外は全員が中国系でした。私も学校に行く前は中国語を理解する事は明かさないようにしておこうと思っていましたが、結局はその環境の心地よさに負けました(彼等と中国語で交流を持てた事によって、移民しての初期段階で知っておきたいような事も教えてもらったりもあり、それはそれでよかったと思います)。

ただこれは極端なケースとも言えないようで、チャイナタウンから遠く離れた学校に通っていた人の話を聞いてみても、やはり香港や台湾を含む中国系の学生が全体に占める割合がかなり大きかったのだとか。元々の人数が少なくなく町中の至る所で彼等の姿を見かけるので、このような傾向にあるのはごく当然にも思えますが、逆に中国系の学生が少ないクラスがあれば、是非それも体験してみたいように思います。

そしてクラスの人数ですが、これは特にレベルによっても大きな差が存在するようです。私のクラスの場合で初めは18名程度からスタートし、最後まで残ったのが12名で、お隣りのクラスでは開始時に10名強居たのが学期終了時には2名だけだったそうです。この点については後述しますが、結局は学生の本気度が影響している気がしました。そこまで必要に迫られている訳でもなければ勉強の本気度だって下がります。本気度が下がれば授業に取り組む態度もそれなりでしかなく、復習もせずに(もしくは「できずに」)次の日の授業ではあまり理解できず、それを毎日繰り返して行けば最後には完全に取り残されてヤル気も失せるというものでしょう。

時間対効果は?

毎日継続して授業を受ける事ができて、生活により充実感を覚えるようになったのは事実です。学校に通い始める前、私は図書館に行って独学をしていたのですが、文法に関してはそれでもある程度の知識はついても、発音を学んだり、スピーキング、ヒアリングの力をつけたいとなると、どうしても授業の方が有利になるものだと思います。

しかし、実際にこうして合計1ヶ月分の授業を受けてみての正直な感想としては、自分が期待していた程の時間対効果ではありませんでした。そこにあるひとつの大きな原因として挙げられるのが、私が通ったのはあくまでも入門者クラスであり、フランス語に触れた経験が全く無い人が大半であるという事。学生各人の語学センスの差異は元より、年齢も下は二十代から上は六十代の方までいらして、同じ授業を聞いていてもそれぞれで覚えるスピードが違うのは初めの数日で容易に見て取れるようになります。このクラスで身につけるべきはあくまでも基礎中の基礎ですから、できる限り取り残される学生が居ないようにと先生も苦心され、結果進度が思うようではなかったのだそうです。

ただ、もたらされる影響が最も大きかったのは、学生自身のヤル気によるものからだったのではないかと思っています。私のクラスでは学期を通して最後まで授業に出た学生が半数を超えていたとは言えども、そこまで必要に迫られていない人が少なくないように見受けられたのも事実。ほとんどがこちらでの生活も5年や10年を数え、フランス語ができずとも一応生活が成り立つ事は経験上知っています。他にも、元々生活拠点がバンクーバーにあり、1年間だけの予定でモントリオールに来ているような人も居て、時が過ぎて元の場所へと戻って行けば、それこそフランス語など生活には全く必要ありませんから、そういう人達は勉強にそこまで真剣に取り組まない訳です。

もちろんヤル気はあっても、家庭持ちで家事に育児にと忙しく、そうそうフランス語の復習をできるような時間も無いという学生も居ましたし、今になって改めて考えてみれば、兎にも角にもまずはフランス語をある程度のレベルまで持って行く事を最優先に考える、もしくはそれを最優先に捉えられる条件のある学生ならば、初めからフルタイムコースを取るのがベターなのかも知れません(ただ私自身まだフルタイムコースで学んだ経験が無いですので、それを経験する事ができた後で、改めて振り返ってみたいと思います)。

ちなみに、先生は学生想いのとても素敵なマダムでした。縁あってこの先生に私の初めてのクラスを担当してくださった事に感謝していますし、これからも長くお付き合いをさせて頂きたいと思っています。

フルタイムのコースについてはこちらから。

それではまた。

1コメント

  1. […] パートタイムコースについて触れた際に、予算削減の影響を受け、教科書などは基本的に配布されなかった事を書きました。しかしフルタイムコースに参加して、必ずしもそうではない事実を確認しました。私達がパートタイムコースで自腹でコピーして、授業で使用していた教材と同じものがこちらでは無料で配られ、それに加えてまた別に1冊練習問題集も与えられているのです。 […]

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