ケベック移民の為のフランス語クラス(4)

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前編はこちら

先にフルタイムコースの申請について、新学期を目前に控えながら学校が決まっていない事情を書いた事がありました(『ケベック移民の為のフランス語クラス(2)』)。フルタイムコースの新学期は8月24日水曜日から始まり、その日になってもまだ連絡が無かったので、9月下旬からスタートするパートタイムコースを取りつつ、フルタイムコースの来学期を待つつもりでいました。

ところが、その新学期も既に始まって3日が過ぎた同じ週の土曜日、突然移民局から電話があり、翌月曜日から学校に通えるかどうかの確認があったのです。パートタイムコースでの1学期を終えたばかりで、1ヶ月は自分の思うように時間が使えるなどと、心のどこかでだらけていたのは否めず、本来喜ぶべき事ながらも、実はちょっとガッカリしてしまいました。同時に心配したのが、学期が始まって3日が過ぎてしまい、クラスの他のメンバーはある程度顔見知りにもなっているところに入って行くのは、人見知りしがちな自分にはやりづらいのではないかという事。とは言え、それだけの事ではフルタイムコースに行かない理由にはもちろんなり得ず、電話口ですぐに翌週から通うと返事をして、前もって行き方を確認する為にも、実際に学校へ足を運んでみました。

食事はどうする?

いきなりこの内容で始まるのもどうなのかと自分自身思いつつ、読まれる方もそう感じているのだろうかと想像しますが、この点は知っておいて損はありません。パートタイムコースとは違い、その名もフルタイムコースですから、午前にスタートして、昼休みを挟み、午後にも授業があります。各申請者(学生)の居住地によって、移民局がそこから近い学校を指定する事になるのですが、私が今通っている学校の周辺には食事ができるような場所は皆無です。レストランも、ファストフード店も、カフェも全くありません。昼休みは45分。バスに乗って食事をしに行くような時間だってありません。場所の下調べに行ったのは日曜日で、学校は閉まっていて中に入る事はできなかったのですが、少なくともその周りを見た時点で「これは困った・・・」と思いました。

その後、実際には学校内にカフェテリアがある事は分かったのですが、毎日そこで食べようと思えば当然余計な出費になりますし、少なくともこの学校に通い始めた1週間(5日間)については、毎日簡単に弁当を用意し持参していました。作ってくれる人が居るのであればそれも大した問題ではないかも知れません。でもそんなに幸せではない私は、週末にある程度保存の効くもの数種類を多めに作って、毎日少しずつ詰めて持って行きました。

ダウンタウンに住んでいるような人であれば、指定される学校もダウンタウン内か、それに近い場所で便利なのだとは思います。ただVerdun、若しくはLaSalle一帯に住んでいる場合には、恐らく私と同じ学校になりますので注意が必要です。学校の周りには本当に何もありません、美しい公園以外には。

フルタイムコースの時間割

これまでは1日たったの3時間(9時30分から12時30分)、間にも休憩時間が入るので、実質授業を受けているのは2時間半程度のものでした。それで慣れてしまった身には、フルタイムコースでの初めての1週間は正直キツかったです。

フルタイムコースの朝は早いです。8時30分に始まります。朝の1時間の差は決して小さくない。私の場合起床時間はそれまでと変わりませんが、より短い時間で朝食をとり、準備諸々を済ませなければいけません。8時30分にスタートした授業は10時20分までぶっ続けで展開されます。その後に20分の休憩時間があり、10時40分から12時30分までまた授業が続くので、ここまでで既にパートタイムコースで1日に受けていた授業の時間を超えています。お昼休みは前述の通り45分間。授業は1時15分から再開されて3時5分までノンストップです。

毎日フランス語というダシ汁で煮浸しにでもされているかのような気分ですが、残念ながら止まるところ無く吸収できるようなスポンジ的脳みそなんてとっくにありませんから、できる事はと言えば、最大限に集中力を発揮して授業を聞き、帰宅後には復習もし、それでもどうにもならなければ、その時はもうそんなものだと思えばいいのではないでしょうか。

フルタイムコース参加の前提条件

ここから書く内容は、必ずしもフルタイムコースだからそうなる、というものでもないのかも知れず、同時に私個人の想像も含みます事をお断りしておきます。

ただ少なくとも、フルタイムコースに出て来る人全体に通じる前提条件というのが必ず存在しているかと思います。それは、本人がどれだけ忙しいと言おうとも、フルタイムコースに参加できるだけの時間的余裕があるという事。実際に今のクラスメートにも授業を終えてすぐに仕事に行くメンバーも居ます。それでも昼間は学校に通い、夕方、若しくは夜には仕事といったように、両立は何とかできている。仕事の関係上または家庭の都合上、それが全く叶わない人も多く居る中で、最低限許されている時間が多い人だけが通って来られるコース、それがフルタイムコースです。

では、移民向けのフランス語クラス、中でもフルタイムコースに通える時間がある人ってどんな人でしょう?

① 親と一緒に移民して来た若者
② 子供の居ない家庭の専業主夫・主婦
③ フランス語力不足が顕著で就職が困難な人
④ その他

私のクラスでは大きくこのように分けられる気がします。

これを細かく見て行くと、まず①については、親がカナダへの移民を申請する場合、その子供も決められた年齢を下回っていれば(原則として19歳以下)同時に移民申請をする事ができます。彼等は経済的にはまだ親の保護下にあり、移民してすぐに職に就く事を求められない状況であるのを活かして、より短期間でフランス語を身につけるべくフルタイムコースにやって来ます。

②専業主夫・主婦の方々は、まだ子供が居ないだけ時間的に余裕を持ちやすく、こちらでの生活をより充実したものにしようと、当然家事や趣味で忙しい時間もある中で、上手に時間をやり繰りしてフランス語の勉強をしに来られます。元から積極的に外に出て行こうとする人であれば問題は無いのでしょうが、普段家に引きこもりがちな人であれば、学校に行く形でフランス語も勉強できれば、同時に(自分に適した距離感を保ちながら)他の人との交流も持てて、ある意味一石二鳥なのではないかと思います。

③ケベック州の他の町はともかく、モントリオールでは仕事の心配をしなくてもいいならば英語だけでも生きて行く事はできます。ただ、移民して来る前に仕事で豊富な経験を持つ人であれば特に、それを活かす為にもフランス語をある程度のレベルまでは身につけたいところでしょう。フランス語力を求めない職場というのは結局一部の分野に限られてしまい、それ以外の場合には、フランス語ができない事で宝の持ち腐れになってしまうケースも多いのだそうです。

④のその他ですが、これは先にも書いたように、日中は授業に出て、その後は仕事に行くようなケースであったり、他には、子供が居ても授業の間は親戚に代わりに見ていてもらえる人などが含まれて来ます。

以上のようなクラスのメンバー構成は、少なくとも私が以前通っていたパートタイムコースのそれとは大きく異なっています。

フルタイムコースの授業展開と内容

同じクラスの中にも、上記の通りそれぞれに異なる状況のもとで各メンバーが授業に参加していて、その全員を考慮に入れつつ授業を進行するというのは現実として難しいようです。例えば、上の①にある若者ですが、私のクラスにはまだ十代の子が数人居ます。そして②に該当するクラスメートはあと数年もすれば四十路に突入しますし、かくいう私も②には含まれないものの、来年にはもう40歳の誕生日を迎えます。これだけ年齢が離れれば、物覚えの面でも小からぬ差があります。

またこのクラスの場合、①に当たる若者達のほとんどがスペイン語を母国語とする中南米からの移民であり、彼等にとって同じラテン語系であるフランス語を勉強するのは、文法上、また語彙の上でも比較的容易で、彼等のペースで授業が進められてしまうと、他のメンバーにとっては正直厳しいものがあります。先生も新しい内容を説明した後に「わかりましたか?」と聞く事はあるにせよ、そこに至るまでの説明のあまりに速い展開に脳みそはまさに煮浸し状態であり、その「わかりましたか?」への反応が追いつかない、そんなメンバーも少なからず居る訳です。ところが先生がそう聞いた瞬間にはもう「はい!」と元気よく答えてしまう中南米メンバーを前にし、分からないメンバーも分かった事になってしまっている、そんな感じを受ける時があります。

それでも、私がこのクラスに通い始めた1週間でもその後半になって来ると、先生もその点に気がついたのか、授業中学生に問題を解く時間を与え、その間に1人1人のところを見て回り、どう見ても分かっていないような学生のところで長く立ち止まって改めて説明をするようになりました。

パートタイムコースでは(今になって思えば)もっと時間をかけ、説明を繰り返し、練習を繰り返すという授業の展開であった為に、現在のフルタイムコースの速い展開には正直驚いていますが、更に先へと続いて行くであろうモントリオールでの将来を考えた時に、本来はこうであるべきなのかも知れないと、今では思うようにしています。

フルタイムコースで使用される教材

パートタイムコースについて触れた際に、予算削減の影響を受け、教科書などは基本的に配布されなかった事を書きました。しかしフルタイムコースに参加して、必ずしもそうではない事実を確認しました。私達がパートタイムコースで自腹でコピーして、授業で使用していた教材と同じものがこちらでは無料で配られ、それに加えてまた別に1冊練習問題集も与えられているのです。

パートタイムコースでそういった教材が配られなかった原因は予算の削減という事でしたが、それは全てのパートタイムコースに該当する事であるのか、それともそのコースを開いている各学校毎で状況が違うのか、どちらなのでしょうか。基本的にコースそのものはケベック州政府の予算があって成り立っているものですので、それぞれの学校でその金額や教材が違う事はあり得ないとは思います。そう考えると、これはあくまでもフルタイムコースとパートタイムコースの差という事になるのかも知れません。私自身今となってはその確認もできませんが、どうしても教材が無いと困るという方でパートタイムコースを選択する予定の場合には、申請時に学校側に確認される事をお勧めします。

おまけ:クラスのメンバーの出身国

あくまでも私が所属しているクラスについてですので全く参考にはなりませんが、こんなクラスもありますよ、という程度にご紹介します。

把握している範囲では総勢19人?

スペイン語勢 – メキシコx2・コロンビア・ベネズエラ・ペルー

唯一のヨーロッパ人 – ルーマニア(ルーマニア語もラテン語系)

旧ソ連勢 – ウクライナx2・ベラルーシ・カザフスタン・キルギスタン

アジア・中東勢 – 日本x2・中国x3・バングラデシュ・パキスタン・ヨルダン

勝手な想像で、フランス語習得がしやすいであろう人達からそうでない人達へと、順番に並べてみたつもりです。旧ソ連のメンバー達ですが、彼等が共通して話せるロシア語にしても文法的に複雑ですし、更にはその音も細かく分かれているのでまず耳がよく、容易に聞き分けが可能みたいです。それに対してアジア系は皆一様に苦労している感じがあり、慣れるまでにはもう少し時間がかかるでしょうか。

フルタイムコースについてもう少し

それでは。

1コメント

  1. […] その後受け始めたフルタイムコースの授業では教材が各学生に配布されました。それもパートタイムコースで自腹でコピーしたものと全く同じ教材でした。果たしてこの教材、フルタイムコースでは配られ、パートタイムコースでは配られないという事になっているのか、それとも同じパートタイムコースでも学校によって違いがあるのかは確認できていません。(2016年9月5日追記) […]

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