フランス語の留学先としてカナダはありなのか?

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フランス語を公用語とする国は世界に数多くあれど、英語が広く話される国でもそれぞれに発音や言葉の使い回しが異なるように、それはフランス語でも同様の事が言えます。

フランス語が話される国として、フランスはもちろん、ヨーロッパでは他にもベルギー、スイス、モナコ等があり、またアフリカでは主にその北西部に於いて、当時フランスやベルギーの植民地として支配を受けていた国々で、今なおフランス語が公用語として広く使われています。

そして、そのフランス語がフランス国外で最初に普及したのが北米であり、現在までフランス語と、フランスによりもたらされた文化が大きな存在感を持つカナダのケベック、ニューブランズウィック両州一帯がまさにその中に含まれます。

話は少々飛びますが、英語を学ぶ際の留学先として私達が初めに思い浮かべるのにイギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドといった国がある一方、主に口コミで広がったフィリピンのセブ島であったり、果ては地中海の中央に位置するマルタまで、ここ最近でその選択肢は随分と増えた感があります。

それではフランス語の語学留学を考えた人が選び得る行き先はどうでしょうか?世界各地で使用されている言語にも関わらず、語学留学をする人の絶対数が少ない事もあってか、ネット上で検索してみても目立つのは結局フランスばかりです。

カナダに至っては、やはり英語圏であるというイメージがどうしても強いのか、留学エージェントの宣伝を見てもフランス語はあくまでも英語の勉強の「ついで」的な扱いをされつつ、「2つの語学をマスターできる」などと調子のいいフレーズが一緒に載っていたりします。

さて、文頭にも書いたように、フランス語には各地の間で単語や発音に違いがあり、中でも特徴的な一例として取り上げられるのがケベック・フランス語(ケベコワ)です。

具体的にどのような違いがあるのかについては、より詳しいサイトにその説明をお願いするとして・・・

私自身が経験したのは、それまでにケベック出身の先生の授業で慣れていた時に、新しい先生に代わってちょっと聞き慣れない発音だったので「田舎の出身なのかな」と勝手に思っていたら、後になってその先生がフランス出身だと分かった、などという事がありました。「どっちが田舎だ」とフランスの人には怒られてしまいそうですが。

ではそのような違いがコミュニケーションに支障を来たす直接的な原因となり得るでしょうか?

全く問題無いとは言いづらいものの、フランスのフランス語であれ、またケベックのフランス語であれ、双方のネイティブスピーカー同士での会話であればもちろん、ネイティブでなくとも、単語の使い方の違いから来る難しさこそあれ、意思の疎通が完全に成り立たないような事は考えられません。

その点から言うと、フランス語の習得に対して、あくまで他人とのコミュニケーションを実現させる事に重きを置くのであれば、フランスで勉強しようが、ケベックで勉強しようが、それは特に問題ではないと言えるでしょう。



ただ留学ともなると、限られた時間の中でどれだけ話せるようになるのか、つまり「時間対効果」がとても重要になります。カナダでフランス語を学ぶ場合、その効果は一体どれだけのものになるのでしょう?フランスやその他フランス語圏の国で勉強するのと比較して、カナダでの留学のメリット、デメリットはどういったところにあるでしょうか?

いい言葉ばかり並べておいて、後には結局ショックが待っている、などという事態を避ける為、まずはデメリットから書きたいと思います。

前述したように、カナダはやはり英語圏の国という認識のされ方が一般的であり、フランス語も公用語として認められているとは言え、英語がより幅を利かせている事は否定のしようがありません。フランス語人口が多いのはケベック州とニューブランズウィック州であり、中でも生活に適した一定の環境を保てる町を挙げようともなれば、前者ではモントリオールとケベックシティ、後者ではモンクトンが何とか(ほぼ無理やり)入って来るぐらいです。

モントリオールの街並

少なくともそのような町が存在してくれるだけでも有り難いのですが、これはあくまで生活の便利度を考慮に入れた上での選択に過ぎず、フランス語の習得を何よりも優先させるとなれば幾分話は変わって来ます。

その理由は、やはりカナダは全体的に見れば英語圏の国であるという部分にあります。ケベック州最大の都市であるモントリオールはカナダ全体でも第2位の人口を誇り、そのうちフランス語を母語として話す人の割合が6割に達するのですが、その大半は英語も話せる人であり、高収入の職に就きたい人はもちろん、サービス業で働きたい人も、まずはバイリンガルである事が当たり前のように求められます。

このような環境下では、フランス語を習いたての人が頑張ってフランス語で会話をしようとしても、それを聞いた相手は大抵英語で返答して来ます。「だってあなた英語の方がまだ話せるでしょう?」と言わんばかりに。もしくは丁寧にも直接聞いてくれます、「英語とフランス語はどっちが便利?」だなんて。

それでもモントリオールの場合、まだフランス語がメインで使われているのですが、モンクトンまでやって来ると状況はまた違います。ケベック州は州全体がフランス語圏であるのに対し、元々ニューブランズウィック州では英語圏とフランス語圏の両方があり、モンクトンはフランス語圏の中心都市とも言える存在です。しかしその「中心都市」のタイトルも、あくまでその文化圏で人口と都市規模が最大である事を示すだけのものであり、実際には英語がより広く使われているのが現実です(下図参照)。

その上モンクトンのフランス語母語者が話す英語は、モントリオールのそれとは大きく異なり、ほぼ完全なるバイリンガルレベルである事が多いです。つまり、フランス語に対して英語で返されるケースはより多くなるという事でもあります。

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ここに挙げたカナダでフランス語を勉強する事のデメリットは、それだけで既に致命的にも思えなくもないものではありますが、ではそれに勝るとも劣らないメリットはあるでしょうか?試しに探してみましょう。

留学の手配を手伝ってくれるエージェントさんが言うように、フランス語と英語の両方をマスターするなどというのがそんなに簡単だとはとても思えませんが、確かにカナダであればその両方に触れられるだけの環境は間違い無くあり、限られた時間の中でどちらの言葉に対してもある程度の耳慣れを可能にしてくれるのは事実です。そしてそれは他のどの国でフランス語を学ぶ場合であっても得る事のできないメリットにもなります。

また、フランス語話者の3人に2人はフランス語を母国語としない人々であり、必ずしも完璧にはフランス語を話せない、もしくはそれぞれの訛りや言語・文化的背景を保ちつつフランス語を話しているのが現実です。これは、英語話者、フランス語話者を問わず、世界各国から広く移民を受け入れているカナダ社会の全体像にも通じる部分があり、その共通点からより体感的に「生き物」でもあるフランス語を感じられる環境があります。

この点は特にモントリオールでより顕著に表れていて、言語が言語であるのみならず、社会そのものを反映する媒体として存在しているのを見てとれるのは、フランス語の勉強にいい刺激を与えてくれる原因にもなり得るものです。

更には、フランス語の語学留学を計画する多くの人にとって、カナダという場所が本来選択肢として挙がりづらい事もまた1つのメリットになります。慣れない海外での生活でホームシックにでもかかれば、どうしても同じ国の出身で、同じ言葉を話す人と一緒に居たくなるものですが、同じクラスにそのような人が居ないのであれば、否応にも別の国の人達とそこで学んだ言葉でコミュニケーションを取らなければいけません。

ちなみに、先に挙げた3都市(モントリオール、ケベックシティ、モンクトン)の中で最大のモントリオールであっても、実際に生活していて他の日本人の方の姿を見かける事はそう滅多にありません。助けを求めたくてもその相手が見つからないのです。そういう部分も含めての海外での生活だと思えば、そのような環境に身を置けるのもまた1つのメリットとして捉えられるのではないでしょうか。

語学留学ですから、言葉を学ぶ事をメインに考えるのは当然ではあるものの、カナダはそれ以外にも生活そのものの面白みや社会の多様性などを実感させてくれる場所でもあります。言語の習得1本に絞ってやって来た結果、更にその先に広がる可能性を新たに見つけられるのもまた留学ならではとも言え、留学を機に、そのまま移民する人も少なくないのがカナダで見られるケースとして特徴的です。

さあ、そんなカナダへフランス語の留学に行くのはありなのか。最後の答えはここまで読んでくださったあなたご自身で見つけてください。

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