モントリオールで車を買った

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モントリオールで生活する上で車を持つ事の必要性はさほど感じない、とはこれまでにも書いて来たのですが、ごく近い将来の引越が予想される為に、この度とうとう車を買う事を決めて長らく調べた上で、最終的に先日納車へと相成りました。

他の件と同様に、アメリカに関しては多く見つかる自動車購入に関する情報も、北へ国境を越えたカナダについてはそうそう多くは見つからずに随分と悩まされました。そこで今日は、車の購入を決めてから、実際に購入するまでの過程を書いてみたいと思います。

新車か中古車か?

カナダで車を買うとなった際によく言われるのが「中古車は怪しい」という点。それも非常に怪しいと、ネット上では数々の体験談を含め、購入を躊躇わずにはいられないような内容が散見されます。何がどう怪しいのかは枚挙にいとまがないという形容がまさにしっくり来る程よりどりみどりで、都市にもよるようですが、カナダの市場に出回っている中古車の内かなりの割合で問題車が含まれているのだとか。そんな訳で私自身も初めは新車一本で考えていました。

しかしそうなると問題はやはりおカネです。予算には限りがあるので、新車を買うならば高望みなどできる訳も無く、車体はより小さく、グレードはより低く抑えられる事になります。町中で短距離を走る事だけを考えて買う車ならそれでも問題は無いとは思います。

でもこれだけ大きな国ですから、折角車を買うのならもちろん遠出だってしたい。それなら少しでも走りやすく、乗り心地もいい車が欲しい。となると中古車を検討するしか無くなり、私も結局は中古車を探し始めました。

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車を買うより先にケベックの免許が無い? ↓↓
ケベック州の運転免許を取得する

とことん調べる

北米での中古車の購入で日本と大きく違うのが個人間での売買が盛んに行われている点。しかしこれこそがまた前述の問題車に遭遇する割合を高めている原因でもあり、車に詳しい人ならともかく、全くの素人である自分が手を出すにはハードルが高過ぎました。他にもオークションに参加したりする方法もあるようですが、まずそのオークションを探すのが面倒に感じて却下。するとやはりディーラーのお世話になるのが最も手っ取り早いだろうと判断し、その方向性で車を探しました。

新車であろうと、中古車であろうと、車を1台買うとなればそれはもちろん大きな出費を伴うものですから、スーパーで買い物をするかのようにはいきません。どのようなタイプの車が欲しいのか、まずはある程度範囲を小さくした上で、ネット上で各メーカーのサイトから中古車売買情報のサイトまで、毎日パソコン画面に穴が空きそうになるまで繰り返しチェックしました。

この時に参考にしたサイトでは、まず中古車情報を多く取り扱うサイトとして、autoTRADER と CarGurus を主に見ていました。これらのサイトには中古車の情報が豊富に掲載されていて、居住地の郵便番号を元に近場の各ディーラーで取り扱いのある車の詳細を知る事ができます。注意したいのは、前者では遠くは500kmや1000km以上先にあるディーラーのストックまで検索できますが、結果居住地外の州の情報まで出て来る事になり、他州からの車の購入にはいろいろと面倒があるため、可能な限りは同じ州内での購入をおすすめします。

他にはアメリカの道路安全保険協会(IIHS)による自動車安全性評価試験のサイトも、購入を予定する車の安全性を確認するのに役に立ってくれます。

もちろんこれらのサイトを確認しただけでは、メガネにかなった車が問題車であるかどうかの判断はできません。では素人がその判断をするのに最低限できる事は何か、この点についてはまた後述します。

安全性以外の判断基準

同じメーカーの同じ車種であってもグレードの違いによって装備が大きく異なり、特に値段の比較的お手頃な車種の最も低いグレードになるとクーラーすらついていない車まで存在します。いくらカナダが北に位置する国とは言え、例えばモントリオールの夏は比較的湿度もあり、気温も30度から35度近くまで上昇するような日も決して少なくはなく、そんな日にクーラーが無い車に乗るのはほとんど罰ゲームのようなものです。

photo credit: ✌ Kᵉⁿ Lᵃⁿᵉ ✌ Chrysler Newport Coupe (Toronto, Ontario) via photopin (license)

その他、雪の多いカナダでは四駆車(AWD / 4×4)が必須であるのかという問題は、カナダ在住の日本人が利用する掲示板のみならず、現地人ですら各地のネット上で数々の討論を重ねているほどです。この点については、冬でも雪の少ないバンクーバーはもちろん、トロントやモントリオールのような大都市では除雪作業の取り掛かりが早く、雪が深く積もった幹線道路などを走るような事はほとんど無いので、四駆車の必要性は特に感じないというコメントが多いようでした。ただ地方都市や、主要都市であっても脇道では除雪が追いつかずに、雪が溜まってしまっている場所を乗り越える為にはやはり四駆があるとラクという声も当然少なからずあります。

また、設備面ではカーナビやサンルーフの有無、そして車を一旦購入すればその後はどうしても気になる燃費の問題、果ては車種による保険料の違い(かなり大きな差があります)なども含め、購入を前に、車の見た目以外にも確認しておきたい部分は決して少なくありません。

ケベックには問題車が多いのか

ネット上で見つけた情報のひとつとして、ケベック州の中古車はお隣りオンタリオ州に比べて安い、という内容がありました。そこから派生する形で、どうしてケベックでは安く買えるのか、ケベックで購入した車をどのようにオンタリオで登録するのか、実際ケベックで買うべきなのか、といった質問とそれに対する答えのやり取りも見つかりました。これらを全体的に見ると、ケベックでの中古車購入はあまり薦められるものではないというネガティブ感がやや強かったのですが、ではその根拠とは何でしょうか?

最も大きな原因に挙げられていたのがケベックの道の悪さです。これは確かによくないです。州内最大の都市であるモントリオールですら、舗装がボコボコになっていて、走っていて車がかわいそうになるような場所が多くあります。そんな場所をずっと走っていれば当然車も痛みやすいでしょう。

次に多く挙げられていた原因は冬場の除雪に使う塩。特に大きな雪でも降らない限り当地での除雪作業はかなり早く、そんな作業に一役買っているのもこの塩なのですが、その上を走る車にとっては錆の原因にもなり、やはり好ましいものとは言えません。

ディーラーもいろいろ

新車であるならば、お気に入りの自動車メーカーのディーラーに足を運べばいいだけですが、中古車を視野に入れた場合では幾分様子が異なって来ます。まずディーラーと言ってもメーカー直営のディーラーもあれば、個人経営のディーラーもあります。またカナダではメーカーのディーラーで他社ブランドの中古車まで取り扱っていて、例えばトヨタのディーラーで日産の中古車が売っていたりするのです。

そして前述のように、問題車が多く潜んでいるカナダの市場ですので、ディーラー経由での購入と言えども油断はなりません。実際そう言った車の多くがディーラーでも当たり前のように扱われていると聞きます。車に詳しくないのならできる事はとことん調べる事ぐらい。最後に納得のいく買い物だったと感じられるよう、この過程には充分過ぎる程の時間を費やしました。

ネット上の情報を総合すると、やはりメーカー直営のディーラーでの購入が最も安全であるようですが、その理由としては、年代が若く保障期間内である車では「certified pre owned」と特に明記されたメーカー認定中古車も多く、この場合メーカーでの点検と整備を経た状態で売られているから(少なくとも名目上は)、という事のようです。

購入は焦らず計画的に

目標がある程度まで絞られて来たら、次はとうとう実際にディーラーに足を運ぶ段階へと移ります。ここでお目当の車を目の前にすると間違い無く気持ちが高ぶってしまうと思います。そんな状態で営業マンの猛プッシュを受けると心は簡単に持って行かれてしまうので、「1度目は見に行くだけ」ぐらいの感じでいられるのがベターかも知れません。

ただ、中古車の購入の場合に新車とは全く違うのが、どこのディーラーにも全く同じ条件の車があるのではない点。前述のように同じ車種でも異なるグレードがあり、そこにオプションが加わり、更には車の状態、走行距離数、転売回数など数々の要素が重なる中からより希望に合った1台を探すとなれば、必ずそこには優先順位が生まれ、同時に妥協しなくてはいけない事も出て来ます。だからこそ余計に焦ってしまいますし、見に行ったその車が、少なくとも外見上は完璧であったりしたならば、すぐにでも欲しくなってしまいそうです。

そんな気持ちをしっかりと抑える為にも、前にも書いたように、まずはとことん調べる事が大切になって来る事をこの時に実感しました。

折角時間を作ってディーラーにまで行ったのですから、テストドライブ、つまり試乗は当然欠かせません。アクセルやブレーキのかかり具合、踏み込みの強さは各人でそれぞれに慣れがありますし、左右の目視を実行する際の見え方なども車によって違いがあります。ですからディーラーに行く前に電話なりメールなりで先方に連絡を入れて、どの車に興味があるのかを伝えた上で試乗の可否を確認しておくと間違いありません。そして中古車は1台1台で条件が異なりますから、もし同じディーラーに同車種で希望する条件に近い車が他にもあるようなら、そのどちらも試乗してみると比較ができてなお良しです。

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ケベック州に於ける飲酒運転の定義は? ↓↓
カナダの飲酒運転に関するルール

CARPROOFを確認する

CARPROOF(カープルーフ)とはカナダに於いて各自動車のヒストリーをチェックしてくれるサービス(有料)で、車1台1台に割り当てられたVIN numberから、それぞれの来歴をレポートにしてもらう事ができます。中古車ディーラーによっては「カープルーフのレポート付き」であるのを売りにしている場合も多く、またディーラーでは提供されない場合であっても、車体にあるVIN numberさえ確認すれば、その番号を元に自分でカープルーフに対してチェックの依頼も可能になります。

ディーラー側からレポートの提供があった場合でも、その内容を確認するだけでなく、必ず車体に記されたVIN numberと照合し、間違い無くレポートがその車に属するものである事を確かめる必要があります。また、レポートの発行日もチェックしておきましょう。1年も前に発行されたようなレポートではその後に何があったのか分かりませんので全く当てになりません。

購入前車検を手配する

前述したように私自身は車に関しては全くの素人ですし、ここでの知り合いに車に詳しい人も居ません。ですからより安心できる中古車を買う為に必ずディーラーに確認した点があります。それが「pre purchase inspection」、つまり購入前の車検についてでした。最終的に購入を決めた車はdemo車で、展示車か試乗車としてディーラーに置かれていた車であり、それも去年のモデルで、走行距離も2500km程度の新しいものでした。当然まだメーカーの保障期間内であり、万が一の故障などが発生しても修理に出せる状態なのですが、やはりカナダで中古車を購入するのは初めてという事もあって、万全には万全を期すべく、購入前車検だけは必ずしようと決めていました。

ちなみにこの車検は完全に自腹になり、その費用も場所や内容によって100ドル以下から250ドルぐらいまでと大きな差があります。そういった場所は各地にあるので、もちろんディーラーから近い場所で依頼する事も可能ですが、あまりに近いと後ろでディーラーと繋がりがある可能性を懸念し、CAA(カナダ自動車協会、日本で言うJAF的なサービスを提供しています)に持ち込んで車検に出す事を決めていました。ケベック州に於いてはCAAが運営する車検センターが13ヶ所あり、そのうちの数ヶ所がモントリオールとその近郊に位置しています。

購入を決めた車ですが、そのディーラーから最短距離にあるCAAの車検センターはモントリオールにあり、ただ片道約60kmと結構離れていたので、ディーラーが納得しない可能性もありました。車検後の結果によりもし買わないとなった場合、もちろんディーラーには一銭も入らず、ただ120kmもの走行距離が余計に上乗せされた車が残るだけです。しかし大枚を叩いて車を購入するのはあくまでも私で、その購入に際しては確認できる事は全て確認し、納得して購入したいという思いがあります。もしディーラーがその車の状態に自信があるのなら車検後の結果にしても良好なはずですから、その為に走った120kmにしてもただ買い手に返るだけの事で、彼等には何の問題も無い訳です。この時点でモントリオールでの車検は認められないのなら、こちらとしても車に何らかの欠陥があるものと見なす以外に無くなり、また別のディーラーを回ろうと考えていました。

結果、ディーラーは快くモントリオールのCAAでの車検を承諾してくれました。そして改めてCAAの車検センターに電話すると3日後の昼に予約を入れる事ができたので、ディーラーにも伝え、当日朝に車を持ち出せるように手配をお願いしました。

その後車検が無事完了し、やはり新しい車で状態がとてもいいとの事でしたが、1ヶ所だけ修理が早急に必要な問題が発見されたので(それが分かっただけでも購入前車検をした意味があるというものです)、車をディーラーに戻した際に、先方に車検の結果内容を見せつつ、修理してくれるように依頼しました。

自動車保険への加入

車検を経て修理の依頼を済ますと納車日が決まり、その日から有効となる自動車保険の申し込みをする事にしました。自動車保険と言っても各州で規定が異なり、例えば西のブリティッシュコロンビア州や、中部のマニトバ州などでは、州政府が運営する保険会社のみでの取り扱いとなったり、オンタリオ州は逆にそのようなものが無く、各個人で数ある保険会社のプランから自由に選択して加入する事ができます(とは言え保険会社間の競争が掛け金の低下を促しているという事実は無く、オンタリオの自動車保険はカナダでも特に高く設定されています)。

こちらケベック州に於いては、ケベック発行の運転免許を持っている場合、年に1回は必ずSAAQ(ケベック州自動車保険公社)で公的保険への支払いが必要になるものの、この保険でカバーされる範囲や保険金には一定の制限がある為、これとは別に各保険会社を通じて、最低でも5万ドルの第三者賠償を含む自動車保険への加入が求められます。しかし実際には5万ドルの補償額ではあまりに少なく、100万ドルを基準に見積もりを出す保険会社が多いようです(私は万一を考慮し、オプションで最高200万ドルまで保障されるプランに加入しましたが、100万ドルのプランと比較しても毎月の掛け金にはほとんど差がありませんでした)。

掛け金の算出に際してはカナダでの運転歴が重視される他、車種、駐車場所(駐車場もしくは路上など)、居住地なども基準となって来るので参考になるような数字をこちらでは案内できませんが、各保険会社や、掛け金比較サイトなどで見積もりをもらう事が可能です。ちなみに掛け金の支払については、1年分を一括で納める方法と、月払いの方法から選ぶ事ができましたが、どちらの方法をとっても1年間での総額は変わらず、また契約そのものは基本的に年単位となる為、月払いであっても1年が経過する前にキャンセルする場合にはキャンセル料が発生するとの事でした。

参考サイト
Kanetix
TD Insurance

上記のKanetixでは、見積もり以外にもカナダ国内各地に於ける掛け金の平均値を調べる事もできて参考になりますが、特にカナダでの運転歴が短い場合には、そこに表示された額を上回る事は覚悟しておいてください。

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そして納車へ

日本であればディーラー側が車を運転して来てくれて納車となる場合が多いかと思いますが、カナダでは基本的にディーラーでの受領となるようで、それに伴い不便も出て来てしまいます。今回車を購入したディーラーはモントリオールからはそれなりの距離があり、購入を前に2度訪れた際にはレンタカーを利用していました。しかし納車当日となれば1人で2台の車を運転する事など不可能ですから、先方の担当者に最寄りの駅まで迎えに来てくれるようにお願いしておきました。

ディーラーによって状況は異なって来るかとは思いますが、今回の場合では購入前にデポジットを納める必要は無かったので、契約、支払ともに納車当日に全て執り行われました。支払方法はbank draft(送金小切手)を使った方法で、前もって銀行で少額の手数料を支払い(RBCでは7.5ドル)発行してもらいました。ここで注意したいのが、車の購入にかかる費用の一部である州税の部分については、ディーラーではなく、後にナンバープレートの申請で出向く事になるSAAQでの支払いになる点。従ってbank draftは総額からその分を差し引いた金額で発行してもらわなければなりません。

ナンバープレートは車のオーナーが自身で申請し取得しなければならず、納車の時点ではディーラー側で代わりに取得した臨時のナンバーが付与されます。これは1枚の簡単な紙っぺらで、リアウィンドーに貼り付けておく事により、納車日から10日間はそれで運転する事ができます。

これらのやりとりを完了すると、車の名義は晴れてディーラーから購入者へと移動し、カナダ国内でも、国境の先のアメリカまでも、この広い北米大陸を自由に走り回る事ができるようになります。何ともおめでたい1日です。

ナンバープレートの取得

臨時のナンバーは納車日から10日間有効ではあるものの、車を所有した以上は1日でも早くちゃんとしたナンバーをつけてあげたいところです。ナンバーの申請は車の購入とは違い、はやる気持ちを抑える必要など全くありません。購入したその足でSAAQに向かい(→ 最寄りのSAAQオフィスを確認)、申請した場で裸のナンバーを直接受領する事が可能です。窓口の担当者が傍らからおもむろに出して来て手渡されるそのナンバー、あまりにあっけらかんとしていて拍子抜けの感も否めない程ですが、それでも喜びはじわじわとやって来ました。

カナダでも他州では既に始まっているpersonalized license plate、つまりナンバープレートに自分で好きな番号をつけられる制度ですが、こちらケベック州でも今年から申請を受け付ける予定でいるようですが、恐らく現時点ではまだ始まっていないものと思われます(↓ 去年の記事)

Quebec to begin selling personalized licence plates
The Société de l’assurance automobile du Québec will soon join the rest of Canada’s provinces in allowing drivers to register custom plates, the provincial government announced in its budget plan o…

前にも触れましたが、ここでは車の購入時に発生する州税を納める必要があり、現金やデビットカード、小切手などでの支払が可能です(詳細はSAAQのサイト上で確認できます)。

プレートの受領だけではなく、その取り付けも自分で行う必要がありますので、その際にはドライバー(ネジまわし)も必要となる事はお忘れ無きよう。

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