カナダで警察にお世話になった話

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わざわざブログという場で公表するような事でもないかと思いつつ、題名の件で新たに勉強した事だったり、1人の移民として改めて感じた事があり、少なくともその点に関しては人様と共有できる部分もあるものと思い、今日こうして書き残しておく事を決めました。

警察にお世話になったとは言っても、何かの犯罪を起こしたとか、もしくは事件に巻き込まれたという話ではありません。ただ御迷惑をお掛けしてしまったのは確かです。

一体何があったのかと言うと、つい先日の出来事なのですが、車で近くを走っていた際に泥道にはまって抜け出せなくなってしまったのです。

約3ヶ月前に越して来たこの田舎では幹線道路と呼べるような道は数える程しか無く、普段は基本的にどこへ行くにもそういった場所を走るのですが、折角始めた新しい環境での生活ですからもう少し別の道も知っておきたいと思い、その日はカーナビやグーグルマップを参考にいつもと違う道を走っていました。

そこは初めごくごく普通の道であったのが、途中からは舗装が無くなり、そのまま走り続けているとかなりのでこぼこ道へと変わってしまいました。スピードは最低限まで落とし、車を傷つけないよう細心の注意を払いつつ走行を続ける事およそ20分、ナビで見る限りはもうあとほんの少しで大通りに出ようかという所でした。

そんな時に前方に現れたのが大きな泥だまり。それまでにも泥を越えなくてはいけないような場所は幾つかあったのですが、片方のタイヤだけでもなんとか乾いた路面を走る事ができていました。それに対して今度のは道の端から端まで広がっていて、今思えばそんな難所を目の前にしてもう少し慎重になるべきであったのに、何の根拠も無くただ「どうにかなるだろう」と考え進んでしまったのが大きな誤りで、結局は後悔する事態になってしまいました。

それでも自分でどうにかしようと、周りから石や枝を集めてタイヤの下に敷いては車に戻ってアクセルを踏む、なんて事を繰り返しはしたものの、全く泥からは抜け出せず、ただ車をいたずらに泥まみれにしてしまうだけでした。

カナダには日本のJAFに相当するCAAというロードサービスを提供してくれる連盟?協会?があり、年会費を支払い会員になっていれば、必要時にサービスの依頼が可能になります。しかしこの時は連絡こそしてみたものの、サービス提供区域外との事で断られてしまい、どうしたものかと悩んだ挙句に仕方無く911、つまり警察に電話を掛けたのです。

これまでにも中国本土、マレーシア、そして香港と異なる国や地域で長年生活して来た私は、正直警察機関に対してはほとんど信頼感を持てずにいましたので、今回のような件で警察が対応してくれるのかについても半信半疑ながらにその電話を掛けたのですが、結果から言えばこの時思い切って電話してよかったと思います。

まず電話口での対応が丁寧且つ効率的で、状況確認後ひとまず電話を切ると、それから10分もしないうちに、実際どの部門が直接対応に当たるのかを改めて電話を掛けて来て伝えてくれました。更にはその部門からも電話があり、再度具体的な状況の確認があった上で、暫くすると1台のパトカーが現場に到着しました。

当日は日曜日だったのですが、到着した際にも、レッカー車を探してはみたもののどこも休業日で手配できなかった事まで説明してくれ、彼等自ら(警官2人)が泥にまみれる覚悟でやって来てくれたのです。ただパトカーが入って来たのが泥だまりの向こう側からで、彼等の想像以上に泥が深く範囲も広かった為に、改めて逆側から入って来るのを決めた時にも、戻って来るまでには最低30分を要するといった事までしっかり説明してから現場を離れるという仕事の丁寧さ。

そして次に戻って来た時には、見つかる筈の無かったレッカー車を連れてやって来ました。これを見て、正直普通のパトカーではどうにもならないのではと思っていた私もホッと一息。その時にはもう既に日も暮れ、気温も下がり始めていた事もあり、そろそろ不安に駆られてもいて、とにかく早くそこを離れたい気持ちでいっぱいでした。

その後は警官とレッカー車のお兄さんが代わる代わる冗談を言いながら、あまりにお気楽な雰囲気で事が進んでしまったもので、実際にどれほどの時間を要したのかは定かではないものの、恐らくほんの数分であったかと思います。まさに「あっという間」に私の車を泥から引っ張り出してくれたのでした。

何より驚かされたのは、車さえ動けるようになればパトカーもレッカー車もすぐに帰ってしまうのではなく、そこからはレッカー車が先導するように前を走り、パトカーも私の車が問題無く走るのを確認するかのように後ろから着き、数キロ先の舗装された道路まで送り届けてくれた事です。無事に辿り着いたところで、また車を停めて最後に私に一言二言掛けてから去って行きました。これにはさすがにちょっと感動してしまいました。

さて、出来事そのものの過程としてはこんな感じでしたが、その中で気がついた事がありました。まずはカーナビやグーグルマップを信じ過ぎてはいけないという事。そこに道があると表示されていても、必ずしも普通の車が通行するのに適した場所ではない可能性があり、特にカナダの田舎ともなればなおさらです。そしてそういった場所に行き着いた際にどうするのか、とにかく早めに判断をする事。無理に進めば今回私が経験したような事態になりかねません。

また人里離れたような場所で車が動かなくなってしまうと、冬の寒さが厳しいカナダでそれは生死に関わる大きな問題にもなります。とにかくは無理をせず、そして万一そのような問題に遭遇してしまった際に最低限の対応ができるよう、車にはブランケットやモバイルバッテリーなどを常備しておく事も必要かと思います。

いつでも、そしてカナダのどこでも、今回のように対応してもらえるとは限りませんが、少なくともこの一件から言うならば、カナダで納税している事にも意味を見いだせる気はしました。前述の通り私はこれまでにもその他の国での生活経験があり、就職もして納税していた訳ですが、残念ながら納税した事で受けられる恩恵などほとんど感じた事はありませんでした。警察はまともな仕事もせず、医療費にしても全額自費で、逆にそのおかげで「自分の身は自分で守る」意識を常に持つ必要性を学べたものの、今になって振り返ってみても、長らく納めて来た税金は一体何に使われていたのだろうと思わずにはいられません。

今回警察から受けた対応のみならず、例えば移民として無料で受けられるフランス語クラスにせよ、もしくは治安も良好で比較的安定した社会環境にせよ、カナダに来てから数多くのサポートと恩恵を受けている事は日頃から感じています。それはこの国で永住権を持つ者が平等に享受する権利でありますが、ただその権利のみに注視するのではなく、それが多くの貢献の上に初めて成り立っている事にも意識を向け、今後自らもがそのような貢献の義務を果たして行けるように、より努力を重ねなくてはいけないと感じされられたのでした。

4 コメント

  1. モントリオール在住の日本人です。最近あることでネット検索をしている時にこのブログにたどり着きました。
    アーミーパンツのモントリオール警察にはあまりいいイメージはありませんでしたが、RCMPの警官はこれまで関わったこともなく、特に何の印象も持っていませんでした。なかなかいいとこもあるんですね。
    ちなみに私は今年初めてNB州に行きましたが、高速でQC州からNB州の境を越えると道路の舗装具合がだいぶスムーズになった気がしました。とはいえども、カナダの田舎での運転はお気をつけください。

    • お返事が大変遅くなり失礼致しました。メッセージを残して頂きありがとうございます。

      前回の件は確かに不幸中の幸いと言った具合で、同じ事が冬の寒い時期にあったらと思うとゾッとします。特に今日などは当地では猛吹雪になっており、まだ慣れぬカナダでの生活ですのでより注意深くなくてはいけないと感じさせられます。

      NBの運転環境は確かにケベックと比べると雲泥の差に感じれらます。今の車を買った時にネット上で調べていたら、前のオーナーが主にケベックで運転していた車はできるだけ避けるべき、なんてコメントがされているのを見た事がありましたが、確かにケベックの道をずっと走っていれば多かれ少なかれ車には悪影響があるかも知れません。その点こちらでは交通量が少ない事も含め、よりスムーズに運転できる気がします。

      今年の冬は随分寒いように感じられます。モントリオールもかなり気温が下がっているようですから、どうか暖かくしてお過ごしください。よいお年を。

  2. 30前後の4年半を仕事の都合で米国 北東部の田舎町で暮らした際、冬の雪道でのスタック、冬のインターステートハイウエイでのガス欠、深夜のアフロアメリカンスラム街でのパンクタイヤ交換など島国の我が国での生活と異なる経験をさせてもらい又米国の人に助けてもらった事も多々あります. 英語が聞き取れるようになったのも 工業高校の夜間教室でやっていた無料の ” 移民の為の英会話”のおかげです. シルバー人材センターの請け負いで区立小の警備を中心とした半リタイヤ生活ですが、アジア各国からの若い在住外国人や移民が休日や夜間の日本語学級の利用者なのが少し感慨深い 今日この頃です.

    深まる秋のカナダでの充実したご生活の記事有難う御座いました.

    • コメントをありがとうございます。

      現在では世界各地からより多くの人達が様々な目的で日本に滞在されている中、mikeさんのように海外での生活経験がある方によって彼等を含む生活環境が守られているという事は、彼等にとってはとてもありがたい事なのではないでしょうか。支えられている事も、そして感謝されている事も、必ずしもいつもそれが目に見える形で入って来る訳ではないとは理解しつつ、今でもそういう事の積み重ねによって日本の社会が成り立っているのに気づかされるたび、これからもずっとそうであって欲しいと、海外での生活を送りながら感じる今日この頃です。

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